現代思想研究会 2024年8月・9月活動報告現代思想研究会
活動日|8月31日、9月2日
参加人数|いずれも4名
報告者|客本敦成(比較文明学)
今回は8月と9月の活動日が近かったため、あわせて報告を行う。
8月には、茶圓彩氏(京都大学)による発表「「演劇性」概念における恐怖の問題」をおこなった。茶圓氏の発表は、アメリカの批評家マイケル・フリードにおける「演劇性」の概念について、フリードがこの概念を必要とした理由をスタンリー・カヴェルとの比較から明らかにしようとするものであった。
発表後の議論では、カントの『判断力批判』の崇高論の問題設定との類似性についての指摘がなされたほか、先行研究による、フリードにおけるホモファビア(同性愛嫌悪)の指摘についても議論がなされた。
9月には、林宮玉氏(大阪大学)による発表「ドン・ジョヴァンニ、ニーチェのもう一つの名前――バタイユにおけるシミュラークルの行方」をおこなった。林氏の発表は、フランスの思想家ジョルジュ・バタイユにおける「ドン・ジョヴァンニ」の形象について、キルケゴールのドン・ジョヴァンニ解釈やバタイユのヘーゲル&ニーチェ評価といったバタイユ思想のコンテクストを精査することを通じて、その哲学的企図を明らかにしようとするものであった。
発表後の議論では、ピエール・クロソウスキーのシミュラークル概念とバタイユの「ドン・ジョヴァンニ」形象の関係が改めて確認されたほか、ジャック・ラカンとバタイユの「ドン・ジョヴァンニ」解釈の違いについても検討された。
10月は池田信虎氏(大阪大学)の発表を行う予定である。